浅井延彦
上荻歯科医院 院長
日本歯科大学を卒業し、上荻歯科医院の院長を務めている。豊富な知識と経験を持ち、日本口腔インプラント学会、顎咬合学会、日本メタルフリー歯科学会に所属し、最新の歯科医療技術の研鑽に励む。
歯並びを整えたいと思っても、「矯正器具が目立つのが恥ずかしい」「できれば快適に治療したい」とためらう方は少なくありません。そこで近年注目を集めているのが「マウスピース矯正」です。透明な装置を使った矯正法としてSNSや広告でも見かけることが増えましたが、「本当に効果があるの?」「ワイヤー矯正との違いは?」など、疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。本記事では、マウスピース矯正の特徴やメリット・デメリット、そして“本当に効果がある矯正法なのか?”を最新情報とともに徹底解説します。
マウスピース矯正は、歯に着脱可能な透明のマウスピース(アライナー)を装着し、段階的に歯を動かす治療法です。少しずつ形の違うマウスピースを1~2週間ごとに交換しながら、計画通りに歯並びを整えていきます。代表的なブランドとしては「インビザライン」や「クリアコレクト」、「アソアライナー」などがあります。
ワイヤー矯正は、歯にブラケットと呼ばれる金属やセラミックの装置を取り付け、ワイヤーで力をかけて歯を動かします。マウスピース矯正はこれらが口の中に固定されず、食事や歯磨き時には取り外せる点が最大の違いです。さらに、透明で目立ちにくいため、人目を気にせず矯正ができるという利点があります。
マウスピースは透明な樹脂製素材でできており、装着していてもほとんど目立ちません。仕事や学校、プライベートでも他人に気付かれずに治療を続けられます。
食事や歯磨きの際、簡単に取り外せます。従来の矯正治療で面倒だった「装置の隙間に食べ物が詰まる」「歯磨きがしにくい」といった悩みが大幅に減ります。お口の中も清潔に保ちやすいのが魅力です。
ワイヤー矯正に比べて、歯を動かす力は比較的マイルド。金属が頬や舌にあたって口内炎になる心配も少なく、違和感も最小限に抑えられます。
多くの場合、数枚分のマウスピースをまとめて受け取れるため、毎月のように通院せずとも治療が進められます。忙しい方や遠方に住んでいる方にも好評です。
マウスピース矯正は、軽度から中等度の歯列不正に非常に効果を発揮しますが、重度のガタつき、抜歯が必要なケースや骨格的な問題がある場合には、ワイヤー矯正の方が適している場合があります。専門の矯正歯科でしっかりと診断を受けることが重要です。
1日20~22時間の装着が原則。自己管理ができず、装着時間がざつになると、思った通りに効果が出ません。ご自身のライフスタイルや性格に合っているかチェックしましょう。
食事や飲み物(特に色の濃いもの)をとる際には原則マウスピースを外します。また、歯磨きもきちんとして、マウスピース自体も清潔に保つ必要があります。面倒に感じる方もいるかもしれません。
ほとんどの場合、自費診療となります。費用は医院や治療期間にもよりますが、60万円~100万円程度が相場です。分割払い等のサポートがある医院も増えてきましたが、事前にしっかり相談しましょう。
マウスピース矯正はここ20年で急速に進化し、世界中の多くの臨床例や研究でその有効性が証明されています。アライナーがコンピューターで精密に設計されるため、計画通りの歯の移動が再現しやすく、正しい治療計画を立てればワイヤー矯正に劣らない効果を発揮します。
昔はマウスピース矯正が不得意とされてきた「抜歯症例」「歯の大幅な移動」ができるよう進化しています。アタッチメントや顎間ゴムなどの補助装置を活用することでワイヤー矯正並みの対応力を持つ場合も増えています。
マウスピース矯正の大きなメリットとして、治療開始前に3Dシミュレーションで治療のゴールや歯の動きが“視覚化”できます。「治療がどれくらい進んでいるのか」「最終的な仕上がり予想」が事前に分かるので安心感につながります。
マウスピース矯正は、かつて「軽い症例だけ」「ワイヤー矯正には劣る」と言われていた時代から大きく進化しています。現在では、多種多様な症例に対応し、高い効果と快適な治療を両立できる選択肢に数えられるようになりました。ただし、治療の成否は適切な診断や自身の努力にも大きく左右されます。信頼できる矯正歯科で納得できる説明を受け、あなたのライフスタイルに最適な治療方法を選びましょう。
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