浅井延彦
上荻歯科医院 院長
日本歯科大学を卒業し、上荻歯科医院の院長を務めている。豊富な知識と経験を持ち、日本口腔インプラント学会、顎咬合学会、日本メタルフリー歯科学会に所属し、最新の歯科医療技術の研鑽に励む。
コラム「歯肉炎は大人の病気」と思われがちですが、実は子どもや思春期の若い世代にも多いのをご存知ですか?
子どもの歯や歯ぐきは発育の途中。油断すると早い時期からトラブルの原因になります。
今回は、小児・思春期における歯肉炎の特徴と、日々のケアで気をつけたい予防のコツを紹介します。
最近は食生活や生活習慣の変化により、低年齢から歯肉炎にかかる子どもが増えています。
特に思春期に入るとホルモンバランスの変化で歯ぐきの炎症が起こりやすくなります。
・歯みがきが不十分でプラーク(歯垢)が残りやすい
・甘いお菓子やジュースなど糖分の取りすぎ
・反抗期や忙しさでケアがなおざりに…
・矯正器具や乳歯の生え替わりで磨き残しが多い
こうした環境が重なることで、子どもでも歯ぐきに赤み・腫れ・出血といった歯肉炎の症状がみられやすくなります。

大人の歯周病と違い、子どもの歯肉炎は比較的軽度で治りやすいのが特徴ですが、放置すると慢性化する危険性も。
特に思春期性歯肉炎と呼ばれるタイプは、ホルモンの影響で歯ぐきが敏感になり、腫れやすくなります。
・歯ぐきに赤みや腫れ
・歯みがきや食事のあとで歯ぐきから血が出る
・口臭が強くなる
・歯ぐきがむずむず、違和感がある
初期なら痛みがない場合も多いため、子ども自身が気づきにくいのも特徴です。
手早く磨くのではなく、「正しい歯みがき法」で確実に汚れを落とすことが大切です。
仕上げ磨きは小学校高学年までサポートし、鏡で歯ぐきをチェックしてみましょう。
歯と歯の間のプラークも歯肉炎の原因に。
子ども用フロスは持ちやすいタイプが多く、慣れると簡単に使えます。思春期のお子さんにもぜひ習慣化しましょう。
だらだら食べや甘い飲み物の習慣は歯ぐきの健康に大敵。
家族で食生活や生活リズムを見直すことが、予防への第一歩です。

子どもも大人同様、歯科医院での定期健診が重要です。
特に思春期は自分で気をつけることも増えるため、プロによるチェックやクリーニングで健康状態を確認しましょう。
・歯ぐきの色や腫れ、出血の有無
・プラークや歯石の付き具合
・歯並び、矯正の影響や唾液の状態
気になる症状があれば早めに相談し、家庭と医院が連携してケアしていくのが大切です。
子ども・思春期の歯肉炎は「一時的」と油断せず、日ごろのケアや習慣をしっかり身につけておくことが将来の健康な歯ぐきの土台となります。
家族と一緒に楽しく取り組みながら、正しいお口ケアの習慣を育てていきましょう!