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「矯正治療」って痛いの?疑問を解消!矯正歯科の真実

歯並びを整えるための矯正治療。見た目の美しさや噛み合わせの改善、歯の健康維持など数多くのメリットがあることは広く知られていますが、一方で多くの方が「矯正って痛いんでしょ?」と心配されているのではないでしょうか。この記事では、矯正治療にともなう痛みの実際や、痛みへの対策、最新の矯正事情について分かりやすく解説します。これから矯正治療を検討される方、不安を感じている方の疑問解消につながれば幸いです。

矯正治療の仕組みと痛みの関係

なぜ痛みが出るのか?

そもそも矯正治療とは、歯を少しずつ骨の中で動かして理想の位置に整えていく治療です。その際、歯の根っこ(歯根)と、その周囲の組織(歯槽骨や歯肉)に持続的な圧力がかかるため、ごく自然な体の反応として「痛み」を感じることがあります。これは歯が動く過程で生じる正常な現象であり、健康上大きな問題にはなりません。

どんなときに痛みを感じる?

矯正治療の痛みは、治療の工程や個人の感じ方によって異なりますが、特に次のようなタイミングで痛みを感じやすいです。

  • ワイヤーやマウスピースを新しく装着した直後
  • ワイヤーの調整やマウスピースの交換後
  • 歯が動きはじめた最初の2~3日間

それ以外の期間は、痛みや違和感はほとんど気にならない、という方も多いです。

治療法別・痛みの特徴

ワイヤー矯正(表側・裏側)の痛み

最も一般的な矯正方法が、ワイヤーを歯に固定して歯並びを整えるワイヤー矯正です。装置をつけることで、装着直後から数日間、圧迫されるような痛みや違和感があります。特に硬いものを噛んだときに「ズーン」とした痛みを感じやすいですが、多くは2〜3日で落ち着き、その後はほぼ気にならなくなります。

また、装置自体が口内にあたり口内炎などができることも。ワックスなどで対策が可能です。

マウスピース矯正(インビザラインなど)の痛み

近年人気のマウスピース矯正は、ワイヤー矯正に比べて力がかかる範囲が限定的で、痛みが比較的少ないとされています。ただし、こちらも新しいマウスピースに交換した日の2〜3日間は圧迫感や痛み、違和感を覚えることが多いです。

部分矯正や子どもの矯正の場合

前歯だけなど一部の歯に限定した部分矯正は、全体矯正より圧力が分散されるため、痛みは比較的軽い傾向があります。小児矯正(成長期の骨格を利用する矯正)の場合も、無理のない力で徐々に調整するため、「ほとんど痛みを感じなかった」というお子さんも少なくありません。

「我慢できるの?」「どれくらい続くの?」よくある疑問にお答え!

痛みはどれくらいの期間続くの?

多くの場合、痛みや違和感は装置を新しくした直後から2〜3日程度。その後はほとんど気にならなくなります。治療全体を通して「ずっと痛い」というわけではなく、多くの方が徐々に慣れていきます。

痛みの強さは?

個人差がありますが、「我慢できないほどの激痛」と感じるケースは極めてまれです。多くの方が「じわじわとした違和感」や「噛むと少し痛い」と表現されます。初めてのときは不安でも、慣れてくると「全く気にならない」とおっしゃる方がほとんどです。

食事や生活への影響は?

痛みが強い日には、硬いものや粘着性の高い食べ物を避け、ご飯やおかゆ、スープなど柔らかい食事を選ぶと快適です。また、ワイヤーやブラケットが当たる場合は、ワックスやマウスガードで保護することもできます。日常生活や学校、仕事に大きな支障が出ることはほとんどありません。

痛みを和らげるためのポイント

1. 柔らかい食べ物を選ぶ

特に治療直後は、歯に負担の少ない柔らかい食事を心がけましょう。ヨーグルト、プリン、豆腐、おかゆ、温野菜などがおすすめです。

2. 痛み止めの活用

どうしてもつらい場合、市販の鎮痛剤(ロキソニン、アセトアミノフェンなど)を使用しても問題ありません。ただし過度な服用は避け、処方薬や飲み合わせについては歯科医師にご相談ください。

3. 歯医者さんに早めに相談

装置が外れたりワイヤーが刺さったりして強い痛みや口内炎ができた場合は、我慢せず歯科医院に連絡しましょう。状況に応じて対処してもらえます。

最新技術で進化する「痛みにくい」矯正治療

弱い力でコントロールする新素材ワイヤー

近年の矯正治療では、従来よりも弱い力で継続的に歯を動かせる新素材のワイヤー(ニッケルチタン合金など)が多く用いられています。これにより「痛み」を最小限に抑えつつ、効率よく歯を動かせるようになりました。

マウスピース矯正の進化

マウスピース矯正は、歯ごとの動きをコンピュータでミリ単位まで設計しています。タイトに装着感を調整できることで、痛みや違和感がさらに減少しています。また、取り外せるので口内トラブルも起きにくく、清潔を保ちやすい点も魅力です。

痛みが怖い方へのケアも進化

初めて矯正治療を受ける方への「痛み」「不安」へのサポートも進化しています。医院ごとに説明やQ&Aが充実し、はじめての方や不安を感じやすい方にも、丁寧なフォローアップがあります。口腔内のトラブルや疑問は、遠慮なく歯科医師へ尋ねましょう。

矯正治療の「痛み」が怖いあなたへ

誰しも「歯を動かす」というイメージで「怖い」「痛い」という感情を持つのは当たり前のことです。しかし、現代の矯正治療は「痛みを最小限にする」「悪い歯並びによる健康面のリスクを予防する」ことを重視し、日々進化を続けています。実際に治療を始めてみると、「思ったよりずっとラクだった」「2〜3日を乗り越えたら平気になった」と感じる方が大半です。

「一歩踏み出す勇気」で未来が変わる

他の医療行為に比べても、矯正治療は比較的長期間のお付き合いとなります。その分、疑問や不安も出てくるでしょう。しかし、矯正を終えた後の笑顔、自信にあふれた生活は何物にも代えがたい価値があります。まずは気軽に、信頼できる歯科医院で相談してみてください。治療への恐怖心が、不安から期待や希望へと変わるはずです。

まとめ―不安を乗り越えて、理想の歯並びへ

矯正治療の「痛み」は、一時的なものがほとんどで、強いものでも数日間だけです。痛みを和らげる方法や、最新矯正技術によるサポートも日々進化しています。迷いや怖さを感じるのは当然ですが、自分の「なりたい姿」をイメージし、信頼できる専門家と新しい一歩を踏み出してみてください。あなたの疑問や不安が、この記事で少しでも軽くなったなら、幸いです。

この記事の監修者
この記事の監修者

浅井延彦

上荻歯科医院 院長

日本歯科大学を卒業し、上荻歯科医院の院長を務めている。豊富な知識と経験を持ち、日本口腔インプラント学会、顎咬合学会、日本メタルフリー歯科学会に所属し、最新の歯科医療技術の研鑽に励む。

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