COLUMNコラム

「矯正治療」後のケアが重要!美しい歯並びを維持するための秘訣

矯正治療を終えた瞬間は、多くの方にとって「長かった努力がようやく実った!」という嬉しい気持ちに満ちあふれるひとときです。しかし、理想の歯並びが完成したからといって、その美しさが自動的に一生続くとは限りません。せっかく手に入れた美しい歯並びを長く維持するには、矯正治療「後」のケアがとても大切になります。この記事では、矯正治療後にやるべきケアや注意点、後戻りを防ぐための秘訣について詳しく解説します。

矯正治療後に起こりうる変化と「後戻り」のリスク

なぜ歯は動いてしまうのか?

矯正治療が終わって装置を外した後、歯は新しい位置にしっかり落ち着いているように感じられます。しかし、歯を支えている骨や歯肉は、元々の位置に戻ろうとする「元の位置に戻る力」(後戻り)が働くことが知られています。この後戻りは、特に治療後数年は非常に起こりやすく、何も対策をせずに放置すると歯並びが元に戻ったり、歯と歯の間に隙間ができたりすることも…。

リテーナー(保定装置)はなぜ必要か?

ほとんどの矯正治療後には、「リテーナー」と呼ばれる保定装置の装着が欠かせません。リテーナーは矯正によって移動した歯を新しい位置に固定し、骨や歯ぐきがその環境に慣れるまでサポートする役割を担っています。リテーナーを適切な期間・時間で使わないと、後戻りが発生しやすくなります。

リテーナーの種類と正しい使い方

取り外し式リテーナー(マウスピース型・プレート型)

最もよく使われているのが、透明なマウスピース型(クリアタイプ)や床(プレート)型リテーナーです。食事や歯磨き時には取り外せますが、それ以外は原則装着が推奨されます。違和感も少なく、見た目も目立ちにくいのがメリットです。

固定式リテーナー

主に下の前歯の裏側などに使用される細いワイヤー型のリテーナーです。取り外しはできませんが、常時装着されているのでつい忘れてしまう心配がありません。ただし、歯磨きが難しくなるため、より丁寧なケアが求められます。

リテーナーの装着期間・装着時間は?

治療直後は「1日20時間以上」の装着が基本です。半年~1年経過後からは就寝時のみ、最終的には週に数日だけ装着など、段階的に減らしていくことが多いです。詳しいスケジュールは歯科医師の指示に従いましょう。

リテーナーの取り扱いで注意すべきこと

  • 毎回の装着前後には水洗いや専用洗浄剤で清潔を保つ
  • 落とす、踏む、熱湯で洗うなどで破損・変形しやすいので取扱注意
  • 紛失・破損した場合はすぐに歯科医院に相談
  • 固定式の場合は専用の歯間ブラシやフロスで丁寧に歯磨きを行う

矯正後は「口腔ケア」の質が問われる

虫歯や歯周病予防によりいっそう力を入れよう

矯正装置を外すと「やっと普通に歯が磨ける!」とホッとする方が多いですが、実は矯正治療後こそ、虫歯や歯周病への警戒が重要です。歯並びが整うことで磨きやすくなりますが、もし後戻りが起きたりリテーナーの清掃が疎かになったりすれば、トラブル発生リスクが上がります。歯間ブラシやフロス、定期的な歯科健診によるプロケアを活用しましょう。

リテーナー着用時のケアも忘れずに

リテーナーを装着したまま食事をしたり、磨かずに放置したりすると、細菌や食べかすが繁殖して口臭や虫歯の原因に。洗浄剤の活用や、夜間着用後の朝もしっかりと歯・リテーナーの両方を清潔にしましょう。

生活習慣と歯並びの意外な関係

舌癖や噛み癖が歯並びを左右する

無意識のうちにしてしまう舌で前歯を押す癖、食いしばり、頬杖、うつ伏せ寝なども、歯並びに悪影響を及ぼす要因です。適切な舌の位置(上あごにつける)、正しい噛み方・姿勢を意識することが、美しい歯並びの維持に役立ちます。歯科医院で「MFT(口腔筋機能療法)」を提案される場合もあります。

定期検診を習慣にしよう

矯正治療後も、年に1~2回程度は矯正歯科や一般歯科に通い、後戻りや虫歯のチェックを続けることが大切です。小さな異変も早期に発見・修正できるため、「ちょっと歯が動いたかも?」と感じたら、放置せずに専門家に相談しましょう。

美しい歯並びを“長く”保つ

矯正治療後は「終わり」ではなく「スタート」

矯正治療の本当のゴールは、治療を終えたその先、長く美しい歯並びと健康な口腔を維持することにあります。そのためには、リテーナーを正しく使うことはもちろん、歯磨きや歯科検診、生活習慣に至るまで「日々のケア」が不可欠です。

まとめ:自分の歯を一生の“資産”に

せっかく手に入れた理想の歯並びを無駄にしないよう、治療後も油断せず、しっかりとメンテナンスを行いましょう。丁寧なケアとちょっとした意識づけが、あなたの笑顔をいつまでも輝かせてくれるはずです。歯は一生ものの財産。矯正治療後の賢いケアで、健康的で美しい歯並びを未来へつなげましょう。

この記事の監修者
この記事の監修者

浅井延彦

上荻歯科医院 院長

日本歯科大学を卒業し、上荻歯科医院の院長を務めている。豊富な知識と経験を持ち、日本口腔インプラント学会、顎咬合学会、日本メタルフリー歯科学会に所属し、最新の歯科医療技術の研鑽に励む。

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